猫の涙目(エピフォラ)の原因と対処法|獣医師が解説

猫の目が涙でいっぱいになるのはなぜ?解答:猫の涙目(エピフォラ)は、涙の過剰分泌か排出不良が原因です。特にペルシャ猫やヒマラヤンなどの鼻ぺちゃ猫種に多く見られますが、感染症やケガが原因になることも。私が診察した猫ちゃんの中でも、涙目で来院するケースはとても多いです。あなたの愛猫が突然涙目になったら、まずは落ち着いて観察しましょう。片目だけの症状か、両目かによっても原因が異なります。重要なのは、涙の色や量の変化に気づくこと。透明な涙なら様子見でも大丈夫なことが多いですが、黄色や緑色の場合はすぐに動物病院へ連れて行ってくださいね。

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猫の涙目(エピフォラ)について知っておきたいこと

どうして猫の目が涙でいっぱいになるの?

猫の目が涙でいっぱいになる現象をエピフォラと呼びます。これは、涙が過剰に分泌されるか、または涙の排出がうまくいかないときに起こります。

実は、猫の涙腺は人間と同じように働いています。でも、鼻涙管という涙を鼻に流す通路が詰まったり、先天的に狭かったりすると、涙が溢れてしまうんです。特にペルシャ猫やヒマラヤンのような鼻ぺちゃ猫種は、顔の構造上この問題が起きやすいですよ。

涙目の猫によく見られる症状

あなたの猫ちゃんがこんな状態だったら、涙目かもしれません:

  • 目の下が常に濡れている
  • 毛が茶色く変色している(特に白い猫で目立つ)
  • まぶたが赤く腫れている
  • 片目だけ細めている

うちの猫も去年、右目だけ涙が止まらなくなったことがありました。最初は「大丈夫かな?」と思ったけど、3日経っても治らなかったので動物病院へ。すると、角膜に小さな傷が見つかったんです。猫同士のケンカで引っかかれたのかもしれません。

猫の涙目の主な原因を徹底解説

猫の涙目(エピフォラ)の原因と対処法|獣医師が解説 Photos provided by pixabay

先天的な要因

特定の猫種では、顔の構造上涙が溜まりやすいです。次の表を見てください:

猫種涙目になりやすい理由
ペルシャ猫鼻が極端に低いため涙の排出が困難
ヒマラヤン顔が平坦で鼻涙管が曲がりやすい
エキゾチック大きな目と短い鼻の組み合わせ

我が家の近所の猫カフェにいるペルシャ猫は、毎日飼育員さんが優しく目の周りを拭いてあげています。「涙やけ」と呼ばれる茶色い跡がつかないように、専用のケア用品を使っているそうです。

後天的な要因

猫ヘルペスウイルスなどの感染症やアレルギー、けがなども原因になります。特に多頭飼いをしている場合、ウイルス性の結膜炎が広がりやすいので注意が必要です。

「え?片目だけ涙が出るのはなぜ?」と思ったあなた。実はこれ、よくあるケースなんです。片方の目だけに異常なまつ毛があったり、その目だけを傷つけたりした場合に起こります。私の友人の猫も、片目だけ涙目になったことがありましたが、検査の結果鼻涙管の片側だけが詰まっていることが判明しました。

動物病院での診断方法

基本的な検査の流れ

獣医師はまず、特殊なライトで角膜の状態をチェックします。次に、涙の量を測る小さな紙をまぶたにはさむ「シルマーテスト」を行うことも。この検査、猫にとってはちょっとびっくりするみたいで、うちの子はいつも不機嫌になります(笑)。

さらに詳しく調べる必要がある場合、フルオレセイン染色という方法で角膜の傷を確認したり、鼻涙管が通っているかどうかを調べる「ジョーンテスト」を行ったりします。検査内容によっては、軽い鎮静が必要な場合もあるので、事前に獣医師とよく相談しましょう。

猫の涙目(エピフォラ)の原因と対処法|獣医師が解説 Photos provided by pixabay

先天的な要因

原因がはっきりしない場合や腫瘍が疑われる場合、CTスキャンを勧められることもあります。特に高齢の猫で急に涙目になった場合、念のため精密検査を受けた方が良いかもしれません。

「検査ってそんなに必要?」と思うかもしれませんが、実は涙目の背後に重大な病気が隠れていることもあるんです。例えば緑内障の場合、早期発見が視力維持のカギになります。心配な症状があれば、迷わずプロに相談しましょう。

涙目の治療法と自宅ケア

薬物療法が有効な場合

細菌感染が原因なら抗生物質の点眼薬、ウイルス性なら抗ウイルス薬が処方されます。猫によっては経口薬の方が楽な場合も。我が家では、粉薬を好物のチュールに混ぜて与えています。

アレルギーが原因の場合は、抗ヒスタミン剤やステロイドが使われることも。ただし、長期使用には注意が必要なので、獣医師の指示に従ってくださいね。

外科的処置が必要な場合

まつ毛の生え方に問題があったり、まぶたが内側に巻き込んでいたりする場合は、手術が検討されます。最近ではレーザー治療も普及してきていて、傷口が小さくて済むのがメリットです。

鼻涙管が詰まっている場合、細いチューブを通して洗浄することもあります。この処置、実は人間の眼科でも同じようなことをするんですよ。猫も人間も、目の仕組みは基本的に同じなんですね。

日常的にできる予防とケア

猫の涙目(エピフォラ)の原因と対処法|獣医師が解説 Photos provided by pixabay

先天的な要因

涙目になりやすい猫種を飼っているなら、毎日のケアが大切です。専用のペット用ウェットティッシュで優しく拭いてあげましょう。コットンにぬるま湯を含ませて拭くのもおすすめです。

ただし、人間用の化粧水やクレンジングは絶対に使わないでください。猫の肌は敏感なので、刺激が強すぎます。ペットショップで売っている専用製品を使いましょう。

環境整備の重要性

ほこりっぽい環境は結膜炎の原因になります。こまめに掃除機をかけ、空気清浄機を使うのも効果的です。我が家では猫のベッドの近くに小型の加湿器を置いていますが、乾燥する季節でも目のトラブルが減りました。

多頭飼いの場合は、食器やトイレを共有しないようにするのもポイント。ウイルス性の病気の蔓延を防げます。

よくある質問と緊急時の対応

こんな時はすぐに病院へ

涙に加えて次の症状があれば、至急獣医師に相談してください:

  • 目をこする仕草が止まらない
  • 涙の色が黄色や緑っぽい
  • 目が開けづらそうにしている
  • 食欲が落ちている

夜間や休日でも、動物救急病院を利用する価値はあります。目のトラブルは進行が早いので、早めの対応が肝心です。

自宅で様子を見ても良い場合

一時的な涙目で、他に気になる症状がなければ、1-2日様子を見ても大丈夫です。ただし、猫が気にしてこするようなら、エリザベスカラーをつけてあげましょう。100円ショップで売っている柔らかいタイプでも代用できますよ。

最後に、猫の涙目は珍しいことではありませんが、その原因は様々です。愛猫の様子をよく観察し、必要に応じて適切なケアをしてあげてくださいね。あなたの優しい気遣いが、猫ちゃんの快適な生活を支えます!

猫の涙目ケアの意外な裏技

涙やけ対策の意外なアイテム

実は赤ちゃん用の綿棒が涙やけケアに最適なんです。普通の綿棒より先端が小さく、猫のデリケートな目元にも使いやすいですよ。ぬるま湯で軽く湿らせて、優しく涙を拭き取ってあげましょう。

我が家では毎朝のルーティンとして、猫の目元ケアをしています。最初は嫌がっていたけど、今では「さあ、お手入れの時間だよ」と言うと自分から近寄ってくるようになりました。ケアタイムを楽しい時間に変えるのがコツです。たまにご褒美のおやつをあげると、もっと協力的になってくれますよ。

食事でできる涙目予防

「え?食事で涙目が予防できるの?」と驚くかもしれませんが、実はオメガ3脂肪酸が豊富なフードが効果的なんです。サーモンやマグロを使ったウェットフードを時々与えると、目の健康維持に役立ちます。

でも、人間の食べ物をそのまま与えるのはNG!塩分や添加物が猫の体に負担をかけます。必ず猫用に調整された製品を選んでください。最近では涙やけ対策用のサプリメントも販売されていますが、与える前にかならず獣医師に相談しましょう。

猫の涙目とストレスの意外な関係

環境変化が涙目を引き起こす?

引っ越しや新しい家族が増えるなど、生活環境の変化で猫がストレスを感じると、涙目になることがあります。これは心因性の涙目と呼ばれ、物理的な原因がないのに涙が出続ける現象です。

私の知り合いの猫は、飼い主さんが海外出張で2週間留守にした後、急に涙目になりました。でも獣医さんに連れて行っても異常なし。結局、飼い主さんが帰宅して3日後には自然に治ったそうです。猫って本当に繊細なんですね。

多頭飼いのトラブルと涙目

複数の猫を飼っている場合、序列争いやテリトリー問題でストレスがたまり、涙目になるケースがあります。特に新入り猫を迎えた時は要注意!次の表のように、猫同士の相性チェックが大切です。

チェックポイント良い例悪い例
食事の様子離れて落ち着いて食べられる威嚇しながら食べる
トイレの使用問題なく共用できるトイレを我慢する
遊びの時間一緒に遊べる常に緊張している

もしも猫同士の関係が悪化しているなら、一時的に別々の部屋で過ごさせたり、フェリウェイなどのストレス軽減用品を使うのも効果的です。

季節ごとの涙目対策

花粉症シーズンの注意点

春先になると、人間と同じように猫も花粉症になることがあります。目のかゆみや涙目がひどくなるので、窓を開けっ放しにしない、外出後に体を拭くなどの対策が必要です。

我が家では花粉の多い日は空気清浄機をフル稼働させています。でも、猫が機械を怖がらないように、最初は弱い風量から慣らしていくのがポイント。いきなり強風だとビックリして、逆にストレスになってしまいますからね。

冬場の乾燥対策

「冬になると猫の涙目がひどくなる」と悩んでいるあなた。実はこれ、暖房による乾燥が原因かもしれません。加湿器を使うのはもちろん、猫がよくいる場所に濡れたタオルを干すだけでも効果があります。

特にペルシャ猫などの長毛種は、目の周りの毛が長いので、涙が蒸発しにくくトラブルが起きやすいです。定期的にトリミングサロンで目の周りの毛をカットしてもらうと、涙やけの予防になりますよ。うちの猫はサロンが苦手なので、自宅で慎重にカットしていますが、プロに任せた方が安全かもしれません。

猫の涙目にまつわる意外な事実

涙目と性格の関係

面白いことに、よく泣く猫ほど甘えん坊という傾向があるようです。動物病院の先生に聞いた話ですが、涙目で来院する猫の多くは、普段から飼い主さんにべったりな子が多いんだとか。

これは科学的に証明されたわけではありませんが、確かに我が家の甘えん坊猫はよく涙目になります。一方で、独立心の強いもう1匹は、ほとんど涙目のトラブルがありません。もしかしたら、ストレスの感じ方に個体差があるのかもしれませんね。

涙目が教えてくれる健康サイン

猫の涙は単なるトラブルではなく、体の異常を知らせるサインでもあります。涙の状態を観察することで、次のようなことがわかります:

  • 透明でサラサラ→物理的刺激やアレルギーの可能性
  • 黄色っぽくネバネバ→細菌感染の疑い
  • 片目だけ→その目に限定した問題
  • 両目→全身性の病気の可能性

毎日のケアのついでに、涙の状態もチェックする習慣をつけると良いですね。私は猫用の健康記録ノートをつけていて、涙の様子もメモしています。いざ病院に行く時にとても役立ちますよ。

猫の涙目ケアQ&A

市販の目薬を使っても大丈夫?

人間用の目薬は絶対に使わないでください!猫の目は人間よりもずっとデリケートです。どうしても必要な場合は、必ず獣医師が処方したものを使いましょう。

最近はペットショップで猫用の涙やけケア商品が売られていますが、効果には個体差があります。初めて使う時は、少量から試して様子を見るのがおすすめです。我が家では最初に前足の裏に少し塗って、かゆがらないか確認してから使っています。

高齢猫の涙目対策

年を取ると、猫も涙の分泌量が減り、ドライアイになることがあります。逆に若い頃より涙目がひどくなる子も。老化に伴う変化なので、完全に防ぐのは難しいですが、こまめなケアで不快感を軽減できます。

高齢猫の場合は、目の周りの筋肉が衰えることでまぶたがうまく閉じられなくなり、涙が蒸発しやすくなることも。そんな時は、獣医師と相談の上、保湿効果のある目薬を使うと良いでしょう。ただし、自己判断で市販薬を使うのは危険ですよ。

E.g. :猫が涙を流す理由とは?考えられる原因と対処法を獣医師が解説 ...

FAQs

Q: 猫の涙目は放っておいても大丈夫?

A: 軽度の涙目なら1-2日様子を見ても問題ない場合が多いですが、以下の症状があればすぐに獣医師に相談しましょう。目をこする仕草が続く、涙の色が濁っている、目が開けづらそうにしているなど。特に子猫や老猫は抵抗力が弱いので注意が必要です。我が家の猫も去年片目だけ涙目になり、3日経っても治らなかったので病院へ連れて行きました。角膜に小さな傷が見つかり、点眼薬で治療しましたよ。

Q: 涙やけのケアはどうすればいい?

A: 涙やけ(茶色い染み)が気になる場合は、ペット専用のウェットティッシュで優しく拭いてあげましょう。人間用の化粧水は刺激が強すぎるのでNGです。毎日同じ時間にケアする習慣をつけると、猫も慣れてくれます。我が家では朝のブラッシングタイムに一緒に目の周りも拭いています。100円ショップで売っている柔らかいコットンとぬるま湯でも代用できますが、専用製品の方が使い勝手が良いですよ。

Q: 猫の涙目で病院に行くタイミングは?

A: 次のような症状が出たら、迷わず動物病院へ。涙が止まらない状態が24時間以上続く、目を痛そうにしている、食欲が落ちているなど。夜間や休日でも、緊急を要する場合は救急病院を利用しましょう。猫の目はデリケートで、症状の進行が早いこともあります。うちの近所の猫カフェでは、スタッフが毎日猫たちの目の状態をチェックしているそうです。プロでも気をつけているんですから、私たち飼い主も注意深く見てあげたいですね。

Q: 涙目になりやすい猫種は?

A: ペルシャ猫、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどの鼻が短い猫種は特に注意が必要です。顔の構造上、涙が溜まりやすく、鼻涙管も詰まりやすいため。でも、すべての猫に起こり得る症状なので、日本猫やミックス猫の飼い主さんも油断は禁物です。友人から「うちの雑種猫が急に涙目になった」と相談を受けたことがありますが、検査の結果アレルギーが原因だと判明しました。

Q: 自宅でできる涙目の予防法は?

A: まずは部屋のほこりを減らすことから始めましょう。こまめに掃除機をかけ、空気清浄機を使うのが効果的です。我が家では加湿器も活用しています。多頭飼いの場合は食器を分ける、トイレを清潔に保つなど、感染予防も大切。猫同士のケンカで目を傷つけないよう、爪切りも忘れずに。獣医師から教わったのですが、バランスの取れた食事も目の健康維持に役立つそうですよ。

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